2014年1月19日日曜日

里山入門講座、新年会

木更津高専環境都市工学科との共催で、里山入門講座を開催しました。



会場は木更津高専。




広い会場と駐車スペースのおかげでたくさんの人にお越しいただけました。地域に開かれた学校だと感じます。司会の木更津高専 湯谷先生、ご尽力ありがとうございました。




高橋会長のあいさつ。



ご講演いただいた千葉県環境研究センター 企画情報室 主席研究員 小川かほるさん。




まず、これまでの文明がどのように発展し、どのように衰退してきたかを振り返り、化石燃料使用前の日本では里山がどのような位置づけにあったかをお話くださいました。従来、里山と私たちの暮らしは密接に関わってきましたが、化石燃料を使い始め、木材が国産材から外材に切り替わったところから、里山が利用されなくなり、荒れてきました。


つまり、これまで人間は里山からさまざまな生態系サービスを受け、それを返してきたわけですが、現在では受けもせず、返しもしていないというわけです。

私たちは便利なほう、安価なほうに向かおうとしますが、これまでの文明を振り返ると、地球規模での衰退を招くおそれがあります。しかし、その流れをなかなか止めることが難しい。里山の価値を見直すには、生態系サービスの価値をお金に替えることが必要ではないか。小川さんはJ-クレジットや森林セラピー、マイナーサブシステンスをご紹介くださいました。


私はこの講演を聴いて、自分が取り組んでいる2つのことが、やはり重要なのではないかと再認識しました。

1つ目は、自然へのお返し。昭和初期まではヒトの糞尿を下肥に変えて、田畑に戻していました。生態系サービスからいただいて自分の命をつなぎ、自分が不要なものは返すこと。これでようやく循環が成り立ちます。ところが、たくさんのエネルギーを使って下水処理をし、生態系システムにもどしていない。そのことは、元自然写真家で糞土師の伊沢正名さんが訴えています。 -> ノグソフィア
私が取り組んでいることの一つに、伊沢さんの講演会のコーディネイトがあります。里山の会でも、伊沢さんをお招きし、 講演ワークショップ をやりました。そして、バイオトイレづくりへと進みました。

<移動型 小型バイオトイレ>
http://kisarazu.30000yen.biz/archives/387
http://kisarazu.30000yen.biz/archives/420

<常設型 ツリーハウス式バイオトイレ>
http://kisarazu-satoyama.blogspot.jp/search/label/%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%AA%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC


2つ目は少し後に書くことにします。

小川さんは多くのことをお話くださいましたが、ご自身の講演も含め、このように話を聞き知識を得るだけでは何の意味もなく、体を動かして考え、気づくことが大事だとおっしゃっていました。私もそのとおりだと思います。


講演お二人目は、千葉県里山林保全整備推進地域協議会 会長の金親博榮さん。


千葉県の里山、林業、文化について、 データを元に詳しくお話くださいました。千葉県の山武杉(サンブスギ)の多くは溝腐病(みぞぐされびょう)にかかってしまった。苗木のときはそれがわからず、外観から判断できるまでに長い時間がかかる。そのため、千葉の里山に放置されたサンブスギがたくさんある。さらに外国から安い木材が入ってきて、国産のコストでは値段で太刀打ちできない。林業は普通にやっては成り立たない。そのような現状である中でも、千葉県では多くの里山活動団体があり、ユニークでさまざまな取り組みがあることをご紹介くださいました。
今回、このイベントの後援をしてくださった NPO法人ちば里山センターさん  が千葉県内の里山活動団体のポスターをお持ちくださり、会場いっぱいに展示させていただきました。





千葉県は全国に先駆けて、平成15年に 千葉県里山条例 を施行しています。しかしながら、問題点は高齢化。多くの若者は都市に出て、都会に目を向けがちです。里山活動団体の平均年齢もグッと高く、このままでは10年後、20年後はどうなるのか。



ここで、先に書いた私が取り組んでいる2つ目。それは、里山で仕事を創ることです。
どんなに正しいことでも、人はなかなかそのとおりには動けません。しかし、このまま放置しては自分たちの首を絞めることにもなります。外からの供給に頼るのではなく、近い里山から供給を受け、それを返す。その生業を自ら創っていく、あるいは支援していくことが必要ではないでしょうか。都会を見ると、自分に合わない仕事に心を痛め、あるいは仕事に就けずに悩んでいる人がたくさんいるように見えます。心豊かに、仲間と愉しみながらできる仕事づくりが、いま必要とされているのではないでしょうか。


しかし、一つのことを大きな産業にしようとすると、溝腐病のようなことが起こったり、集中により競争が激化し、乱獲ではげ山になってしまうおそれもあります。そうならないように、ここは冷静に知性を働かせながら進めなければなりません。

仕事を創ることにおいても、集中させすぎず、多様化すること。そこで私が取り組んでいることの二つ目は、 月3万円ビジネス というものです。栃木県那須の 非電化工房 藤村さんの著書です。奪い合わずに分かち合うビジネス。里山にはたくさんの遊休資源が埋もれています。月に15万円稼げる仕事を創ることは難しくても、月に3万円しか利益が出せないような小さな仕事なら、たくさん創れるかもしれません。

<月3万円ビジネス交流サイト>
http://30000yen.biz/

<3-biz前田商店>
http://maedashouten.30000yen.biz/


都市に集中している若者が地方に散らばり、いい仲間と一緒に愉しく稼げるいい仕事を創る。多様化し、競争せず、たくさん獲り過ぎない。私は里山の会のビジョンに、「若者が小さな仕事を創れるプラットフォーム」を入れたいと思っています。

この里山入門講座は、地域の人に里山や里山が抱える課題を知ってもらい、会のビジョンづくりにも大きく役立つものだったと思います。

最後にイベント記事を掲載してくださった 房総ファミリア新聞さん 、 イベント告知をさせいていただいた かずさFM ランチタイムガーデンの熊本秀樹さん 、ほかご協力くださったすべての皆様に深く感謝いたします。


入門講座のあとは、里山の会の活動地で、火を囲んで新年会。ゲストも多数お招きし、おいしい料理を囲みました。


こういう愉しみがあっての里山活動。これからも若い人を引きつける魅力づくりをしていけたらと思います。


<きさらづ里山の会チラシ>
http://www.kisaradusatoyamanokai.com/general_flier.pdf

<きさらづ里山の会 イベント情報>
3月9日(日) 植林体験
 針広混交林をつくるための植林をします。
4月13日(日) 春の山野草観察会
 つくし、たんぽぽ、みつばなど、食べられる山野草がたくさんあります。
はじめての方でも、どなたでも参加できますので、お気軽に!詳しくは下のチラシをご覧ください。
http://www.kisaradusatoyamanokai.com/2014_spring.pdf

(前田)

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